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シリアの子どもたち

シリアの情報発信

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シリアの小児がん

背景

イラクでは1991年の湾岸戦争のときから米軍が実戦で劣化ウラン弾が使用し、放射能汚染が進んだために白血病を中心に小児がんの子どもが増えました。当時のイラクでは経済制裁がひどく、抗がん剤も手に入らずおおくの子どもが死んでいくしかなかったのです。2003年のイラク戦争でもれかウラン弾が使用されました。国際社会の援助も、がんは緊急性がなく、費用対効果も悪いことから取り組む団体もほとんどありません。  イラクはアメリカの占領後も治安は悪化の一途をたどり、シリアにも多くのイラク難民が避難してきました。   シリアはイラク難民のがん患者のほぼ無料で受け入れました。

シリアのがん病院

シリアは社会主義体制の国です。 医療に関しては基本無料です。しかし、1979年からアメリカはシリアをテロリスト支援国家として経済制裁を課してきました。対イスラエルとの戦争で、パレスチナの武装グループや、南レバノンでの民兵を支援してきたのですが、親イスラエルのアメリカにとっては、シリアはテロリスト支援国家でした。 湾岸諸国と違い石油がほぼ取れないシリアは、国の財源は厳しい状況が続いています。

子ども病院

さて、シリア国内の小児がんの病院ですが、専門病院は国立で、ダマスカスの中心部に、「子供病院」があります。 子ども病院は、17床の入院患者と毎週200人ほど外来患者がいますが、設備は老朽化しています。

ダマスカスの子ども病院

ベイルーニ病院

ダマスカス郊外(いわゆる東グータ)にあるベイルーニ―大学病院に2009年に小児がん専用病棟ができました。 20人の入院患者を収容でき8の外来ベッドを設置。資金提供に活躍したのがBASMAという現地のNGOです。

ベイルーニ―大学病院(2009年撮影)

BASMA

2006年に12人のボランティアが始めた。 2008年に Childfood cancer international に加盟 大統領決済で2009年ベイルーニ大学病院の小児がん病棟と契約し、BASMAが運営に資金提供 アメリカのST JUDO Hospital と提携 アメリカの経済制裁が発動されても、ベイルートを介して技術支援を受けている。 7000人のがんの子どもがシリアで治療 650人がBASMAが支援  生存率(2009年ー2013年の調査)は、50%

内戦とがん治療の問題点

ベイルーニ―大学病院(2009年撮影)

①病院が攻撃対象に

内戦が始まるとダマスカスで中心的ながん治療を行っていた病院は窮地に立たされます。 先ず、政府が所有する病院ということで反体制派からは、プロパガンダに使われているとされ攻撃対象になりました。 病院では、けが人が担ぎ込まれます。兵士の場合味方だけを治療する。あるいは、敵だとみなされて病院にいくと治療をしてもらえない、あるいは、反体制派であれば逮捕されてしまうかもしれないと恐怖を抱くようになります。「戦闘員を治療する」病院も攻撃対象になってしまいました。 外科の場合は野戦病院でもなんとか応急手当てができますが、小児がんの場合は、2-3年間定期的に薬を投与しなければいけないのです。

②交通網の遮断

病院に行けない子供たちが増えました。反政府支配地域にいることどもたちは政治的には無関係でもレッテルが貼られてしまいます。 結果ヨルダンやイラクに難民として避難し、第三国での治療を受ける子どもたちが増えました。 しかしヨルダンやレバノンでの治療は有料です。一人数百万かかり、なかなか援助してくれる人も見つかりません。運よく病院に受け入れてもらっても、生存の可能性が低いがんの場合は、そこにはお金を費やせないとして治療をしてもらえないケースもあります。イラクは基本無料ですが、治安がもともとよくなく、クルド地区に限られ、そこにアクセスできるのはクルド人だけでした。 シリア難民

③経済制裁による医薬品不足

最近ではダマスカスの治安は非常に安定しており、町を普通に歩くことができます。難民も帰還する人たちが出始めています。しかし、経済制裁が続き、USAやEUは、アサド政権が政治的に終わらない限り復興支援は見合わせるという方針を出しています。 シリアポンドも1/10まで価値が下がり、時に抗がん剤は輸入に頼っているので医薬品不足が深刻です。

Who beiruni 2018

④内戦による分断

そのような状況でも日本政府はWHOを通して人道的な支援の一環として、シリア保健省に抗がん剤の支援を行ったとの情報があります。本来医療と政治は切り離して、必要な子供たちに支援が届かなければなりません。 体制の支援とか反体制派の支援というレッテルではなく、がんの支援に関しては2-3年間の継続した医薬品の投与が必要になってくるので、すべてのセクターが協力し合い、特に地方の子どもたちに関しては、安全に病院に通える保障と交通費などの経済的な支援、地域での投薬の可能性など特別な配慮が必要とされています。 また、難民の子どもたちが、海外で治療を続けるのがいかに困難かを考えたら、シリア国内での治療の充実を目指すべきです。